春の上生菓子セット『花づくし』のご案内です。
《つくばいに梅》
小豆胡麻練切 梅餡
錦玉に梅の花
つくばいにひらりと落ちた梅の花。
本物の花を使い、清酒で風味をつけた錦玉羹の中に閉じこめました。
見えない部分ですが、つくばいの底はうずまき模様。尾形光琳の紅白梅図屏風からイメージをいただいて、琳派を気取って金箔をちらり。
春の上生菓子セット〈花づくし〉は20日の21時より販売予定です。
《貝母百合》
薯蕷饅頭
抹茶とローストアーモンドの餡
花弁の内側の市松模様が印象的な貝母百合。その様子から編笠百合とも呼ばれています。
ちゅるんと丸まった葉先はト音記号のよう。花弁の模様もかすれていて、なにか古い楽譜のような感じもします。
ずっとお菓子にしてみたいと思っていたモチーフで、練切などいろいろな素材で試作を重ねましたが、今回は薯蕷饅頭に焼き印で、シンプルで愛らしい表現にしてみました。
ふっくらした薯蕷生地に、濃いめの抹茶餡。パリパリしたローストアーモンドがアクセントになっています。
《ハイドゥン》
ココナッツミルクのういろう
小豆餡 コーヒー羹
ピンクのあでやかな花が咲くベトナムの椿。ハイドゥンキングという品種の花をこの数年育てています。
ふちが白く、厚みある花びらが重なる様子がなんともいえず個性的。いつもお菓子にしてみたいと試行錯誤しています。
新春の販売会では花弁にクローズアップしたデザインで作りましたが、今回はぽってりした花全体のかたち。
配合も少し変えて、ココナッツミルクで練り上げたういろうで小豆餡を包み、真ん中にはコーヒーの錦玉羹。黄色いシベはマンゴーの風味です。ココナッツミルクと米粉の香りがなじみ、懐かしくておっとりした雰囲気のお菓子になりました。
《ミモザ》
サフラン道明寺 栗とピスタチオ
つぶ餡に夏蜜柑ピール
早春に明るい黄色の花を咲かせるアカシアミモザ。庭に植えた木は毎年大きくなって、今年もたくさんの花をつけてくれました。
学生のとき、『鳥の目、虫の目』という言葉を先生から教えていただきました。
たとえば、ピンク色の金団を桜の咲いた山に見立てたら、それは空を飛ぶ鳥の目から見た景色。同じ桜でも花びら一枚を練切で作れば、それは虫の目から見えた光景。
対象物をさまざまな視点から観察するとお菓子のデザインが豊かに立ち上がってくるよ、というお話で、今もずっと心に残っています。
今回のミモザは、ホワホワの花のひとつにクローズアップした『虫の目』な意匠。サフランで色づけした道明寺で表現しました。
ミモザを生けていると大量の黄色い花粉が落ち、それがカレー粉のように見えたので、最後にマサラスパイスをちらしてエスニックな風味をのせました。
ピスタチオと栗の食感、小豆の風味、最後に餡の中から香る夏蜜柑の皮。マサラな和菓子をお楽しみください。
《すみれ野》
よもぎとパセリの浮島
百合根羹 レモンのかおり
よもぎと刻みパセリを入れてふんわり蒸しあげた浮島に、百合根の裏漉しを入れた白餡の羹の流しあわせ。
小豆島のレモンの皮を削りいれ、ビターで爽やかな風味のお菓子になりました。
薯蕷饅頭に使った抹茶餡もそうですが、今回のお菓子はグリーン度強めの味わいになっています。お花をテーマにしているけれど味はキリッと、若々しい緑の風味が強いほうが春らしいのではないかな、と思っています。
デザインは子供のころの思い出から。
忍び込んだ空き地にすみれの花がいちめんに咲いていて、友達と秘密の花園だね!と興奮しながら摘みました。
コンクリートの塀に囲まれた四角い空き地で、地面に咲いてる花を摘んで、手の中いっぱいの花束を作った記憶があるのですが、それがどこだったのか、誰と一緒だったのか、本当にあったことなのか、大人になった今ではわかりません。
夢のようなおぼろげな記憶を、四角く切り出した口溶けのよいお菓子にしてみました。
《紺侘白雲》
練切 いちご餡
うすいえんどう豆
深い赤の紺侘助と、まろやかな白色の白雲。小さな鉢で育てている椿が、同時に美しい花を咲かせました。
向かい合わせに置くと、赤白の椿がおしゃべりしているよう。二色の花をひとつに合わせた意匠に作り、中餡は濃厚ないちご餡に、塩をきかせたフレッシュなえんどう豆を入れました。
椿のつぼみって豆みたいでおいしそう…という連想から生まれた、思いがけない味の組み合わせ。ぜひお試しください。
6種セットで冷凍便でお届けします。
3月20日 21時よりオンラインストアで販売開始となります。
当サイトのカテゴリ『お買いもの』よりご覧いただけます。